大判例

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京都地方裁判所 昭和44年(む)1384号・昭44年(む)1385号 命令

(被疑者の表示)

学生 ○○○○

昭和二三年一一月一三日生

学生 ○○○○

昭和二三年七月二日生

(勾留状に記載した被疑事実の要旨)

被疑者両名は、自衛隊の治安出動に反対する目的で、共謀のうえ、昭和四四年九月二三日午前五時五〇分ごろ、京都府宇治市広野町風呂垣外官有地、陸上自衛隊大久保駐とん地(防衛庁施設)内に侵入して同所南東隅附近の給水鉄塔上に登るなどし、以て故なく右施設内に侵入したものである。

被疑者両名につき勾留状を発布する理由

一罪を犯したと疑うに足りる相当な理由の存否について。

検察官提出の一件資料によると、被疑者両名につき勾留状に記載して被疑事実の存在が疎明されていると認めなければならない。

ところで、被疑者○○○○においては、現存の自衛隊は日本国憲法上許されない違憲の存在であるから、本件被疑事実が住居侵入罪を構成することはない旨弁解している。

日本国憲法の解釈として、自衛のために必要最小限の戦力であればその存在が許容されるとの立場に立つとしても、そのことからして現実に存在する自衛隊の実態が常に合憲の存在であるということにはならないのであつて、その必要最小限の戦力であるとして保持されているものであつても、その実態如何によつては違憲の存在になることもありうることといわなければならない。しかして、現存の自衛隊の実態がそのような違憲の存在であると判断される場合には、そのような自衛隊の施設内における平穏は保護さるべき法益とはいえないこともあり、その観点からして被疑者両名の本件行為を住居侵入罪として犯罪視することのできないこともありうることと解されその意味においては、被疑者の右弁解にも傾聴すべき一面があるといわなければならない。

しかしながら勾留の要件である犯罪の証明については、刑罰要件の如き厳格な証明は要求されておらず、「相当な疎明」が要求されているにすぎないのであり(刑事訴訟法六〇条)、他方、右に述べた自衛隊の実態が違憲か合憲かという問題は、日本国憲法の解釈論のほか、その能力、規模など自衛隊の実態についての検討などを経て慎重に判断さるべきことがらであると解され、本件各勾留請求についての一件資料ならびに当裁判官が令状裁判官として行ないうると考えられる相当な事実調の結果を総合してみるだけでは、未だ以て現存の自衛隊の実態が違憲のものであるとまで断ずることはできないというべく、そうであるとすれば、被疑者両名につき勾留状記載の如き被疑事実の存在が疎明されている本件においては、令状裁判官としては、被疑者両名が住居侵入罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるものと認めざるをえない。

二刑事訴訟法六〇条一項各号該当事由の存否について。<省略>(栗原宏武)

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